肩こりは、長時間のデスクワークを専業とする職種の人には年齢を問わず多く見られる症状です。一般に、うなじから肩の上部にかけての筋肉に「こり」・「張り」と呼ばれるこわばりが生じ、重苦しい不快感や痛みを感じます。
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肩こり・肩の痛みの原因
肩こりの原因については十分に解明されていませんが、背中上部の僧帽筋(右図の赤い部分 by Wikimedia Commons )とその下(深層部)にある筋肉が持続的な緊張状態によって硬くなることから血行不良が起き、酸素や栄養が不足すると同時に疲労物質が蓄積して発生すると考えられています。僧帽筋は背骨を中心として左右対称の大きな一対の筋肉であり、主に肩甲骨を動かす働きをしています。僧帽筋の上部(肩の上部からうなじにかけて)は特に厚みがあり、そこが肩こりの発生部位です。
椅子に腰掛けて長時間のデスクワークをする人は、精神的緊張と運動不足から気づかないうちに僧帽筋エリアの血行不良を引き起こし、肩こりになりやすいと考えられます。
オフィスワーカーの肩こりと椅子の関係
精神的な緊張や運動不足が長時間続くことで肩こりが発生する場合、疲労を感じたとき、あるいは1時間ごとに休憩して、体と精神をリフレッシュさせることで肩こりを防ぐことができると思われます。それができない環境の場合は、椅子に腰掛けたままで首や肩のこりをほぐす軽いストレッチ運動をするとよいでしょう。
椅子の背もたれがロータイプで低い場合は、座ったままでも首や肩の運動を無理なく行えると思います。首・肩だけでなく、上半身をひねるような運動もできそうです。しかし、現在のワークチェアはハイタイプの背もたれが主流です。ヘッドレストがなければ首の運動くらいはできるかもしれませんが、肩の運動はやりづらいと思われます。また、背もたれによって肩の動きが制限されるハイタイプの椅子は、上半身をひねる動作をすることができないため、肩だけでなく全身的な血行不良を起こしやすいと考えられます。
このようなワークチェアの健康阻害要因についてはメーカーも認識していて、体を動かしやすいハイタイプのワークチェアも開発されています。その代表的なものが、Herman Miller (ハーマン・ミラー)のEmbody Chairs (エンボディチェア、上掲写真)です。この椅子の最大の特長は、背もたれが硬いフレームのないユニークな構造をしていて、しかも横幅が比較的に狭く、背面の特殊なピクセル構造によって柔軟性があるという点です。体をひねる動作や腕・肩を動かすことが自由に行え、血行不良になりにくい設計です。
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