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正規品・激安リプロダクト品・コピー商品の違い
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正規品とは、本来、正規輸入品を略して使用されるようになった言葉です。海外のメーカーや販売業者と契約した国内の販売代理店が輸入・販売する商品のことで、いわゆる並行輸入品の反対語として使われてきました。現在では、工業製品のリプロダクト品や違法なコピー商品に対するオリジナル商品・本物という意味でも用いられています。
リプロダクト品は、意匠権が無効になった製品のデザインを他のメーカーが忠実に再現した製品のことです。意匠権は、意匠法で規定されている工業製品のデザインを独占的に所有できる権利のことで、その存続期間(有効期間)は意匠登録が認められた日から20年です。アメリカの場合は、意匠権のことをデザイン特許と呼び、その期間は14年です。その間、登録者の許可を得ないで第三者が同じデザインの製品を製造・販売することは禁止されます。リプロダクト品は、この意匠権の存続期間が終了した製品を第三者が複製して販売したもので、それを正規品と偽らない限り違法ではありません。
コピー商品は、知的財産権の侵害に当たらない範囲で他の商品を模倣した類似品についても使われる言葉です。しかし、デザインをコピーした商品の場合は、正規品の意匠権ばかりか商標権をも侵害している偽ブランド品など偽物を指して使われることが一般的です。従って、違法商品の意味合いが強いコピー商品という言葉は、リプロダクト品に対しては一般に用いられません。
オフィスチェアの激安リプロダクト品における問題点
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椅子にもリプロダクト品があり、その代表例が Eames Chair (イームズチェア)です。アメリカの著名なデザイナー、イームズ夫妻が1940年代から’50年代にかけて制作した椅子です。オフィスチェアの代表作が、1958年、ハーマン・ミラー社によって製品化された Eames Aluminum Group Chair (イームズ・アルミナムグループチェア)であり、現在でも高い人気を誇っています。前掲記事「会議が、好きになる。 居心地のいい会議用チェア」で紹介した正規品の Management Chair (マネージメントチェア)は、ハーマン・ミラー直販サイトで 29万円以上の値段が付いていますが、ネット上ではそのリプロダクト品が 4~5万円台で販売されています。
激安リプロダクト品は、製品のコストにロイヤリティ(デザイン使用料)が含まれていないとは言え、正規品と比べて極端に安いので驚きます。デザインを忠実に再現していても、品質の点はまったく疑問です。正規品と同等の素材や加工の技術・精度で造られているとは到底思えないからです。従って、使用感や耐久性などの点で劣っていることも十分に考えられます。また、ハーマン・ミラーは保証期間12年という手厚い製品保証を付けていますが、リプロダクト品の場合は保証が付いていてもせいぜい1年です。中国製が多いようですが、中には生産国表記をしていない販売業者もあります。そのような疑問点をよく考慮して、購入する価値があるか検討すべきです。
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