オフィスチェアもインテリア(室内装飾品)である以上、フォルムや色彩の美しさを気に留めない人はいないと思います。しかし、人間工学やテクノロジーの進化した現在では、実用品であるべきオフィスチェアは機能偏重の傾向にあります。極論すれば、機能性とそれに基づく利便性ばかりが大切にされ、造形美は軽んじられています。ここでは、美意識を大切にしたい人のために、優秀なインダストリアルデザイナーの手になるオフィスチェアの秀作を紹介します。
仕事で使えるデザイナーズチェア
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Eames Aluminum Group Management Chair by Herman Miller (レザー ブラック)
designed by Charles & Ray Eames
イームズ・アルミナムグループチェアは、アメリカの著名なインダストリアルデザイナー、イームズ夫妻による1958年の作品です。同年、ハーマン・ミラーが製品化。その後、素材と加工方法に改良・変化を加え、現在も人気が衰えない古典的な名品です。軽量でありながら耐久性に優れたアルミのフレームと脚が洗練された機能美を生み出し、5cm間隔で縁取られたレザーが肉感的な表情を見せています。オフィスチェアとしてはハイバックのエグゼクティブチェアもありますが、このマネージメントチェアがワークチェアや会議用チェアとして最適です。
・参考価格 写真の製品 295,920円 (税込) @HermanMiller Store
※注文時に各パーツの素材・色を細かく指定できます。
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Nelson Swag Leg Armchair by Herman Miller
designed by George Nelson
ネルソン・スワッグレッグアームチェアは、イームズチェアと同じ1958年にハーマン・ミラーが製品化した椅子です。デザイナーのジョージ・ネルソンは、1930年代以降の建築・デザインに関するアメリカンモダニズムの創始者の一人で、イームズ夫妻を発掘したのも彼です。彫刻のような脚を持つ椅子を構想し、スチール製のチューブにスエージング加工(金属を圧縮成形する鍛造加工法)を施して、独特の形状をした脚「スワッグレッグ」を作り、その上にさらに彫刻的なシェルをデザインしました。スワッグレッグチェアは、イームズチェアと同様、現代にも通用する先進的な美しさを持ち、ワークチェアやミーティングチェアからダイニングチェアに至るまで、多様なニーズに対応しています。
・参考価格 100,440円 (税込) @HermanMiller Store
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ROLLINGFRAME by Cassina (アームチェア)
designed by Alberto Meda
ローリングフレームはイタリア人のインダストリアルデザイナー、アルベルト・メダの作品です。メーカーは、同じくイタリアの高級デザイナー家具専門メーカーであるカッシーナ。日本では東京・青山のインテリア企業、カッシーナ・イクスシーが販売しています。軽量でありながら強度に優れるアルミフレームは、アームレストとともに流れるような美しいラインで目を引きます。また、フレームとメッシュの弾力性だけで、巧みに快適性を生み出しています。写真はアントラサイト(光沢のある濃いグレー)フレーム × ブラックメッシュですが、カラーバリエーションとしてホワイトフレーム × ホワイトメッシュがあります。
・参考価格 138,240円 (税込) @CASSINA IXC. オンラインストア
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Sayl Chair by Herman Miller
designed by Yves Béhar
ハーマン・ミラーが 2010年に発売したセイルチェアは、スイス人のインダストリアルデザイナー、イヴ・ベアールの作品です。フレームのない粗いメッシュの背もたれが、まるで風をはらんだ帆船のセイル(sail)のようです。しかし、背もたれのメッシュ構造は、吊り橋(サスペンションブリッジ)の原理からインスピレーションを得たという、全面サスペンション(3Dインテリジェントサスペンション)として機能するデザインです。あらゆる体形の人にフィットし、自由な動きをサポートします。最新の人間工学に基づき、オフィス空間の広がりを感じさせる軽やかでエレガントなアート作品として仕上げた秀作です。
・参考価格 86,400円 (税込) @HermanMiller Store
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